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祖谷温泉

祖谷温泉に宿泊するならこの宿！

和の宿 ホテル祖谷温泉

和の宿 ホテル祖谷温泉

祖谷温泉郷は、わたしにとって想い出の地である。卒業旅行で野郎5人で四国を巡り、讃岐うどんのコシに驚嘆し、かずら橋でふざけ合い、暗くなって飛び込みで泊まった宿が祖谷温泉郷の一軒宿だった。東京までの帰りの高速代を考えると所持金はすでに底をついており、今考えるとよくあの価格で泊まらせてもらえたなと思うほど格安だった。

しかも二食付きで、就寝時に「値段聞き間違いじゃねぇ～」と翌朝の支払いが不安になったのを覚えている。正直に事情を説明したのがよかったのかもしれないが、夜逃げされるのを覚悟で泊めてくれたのかもしれない。

そんな想い出の地である祖谷温泉郷だが、その宿で露天風呂に入ってきた友人が語った「すげぇ～湯だったぜ！」のひと言が、この仕事をするようになって思い出された。今思うと自宅の風呂と温泉の違いすらわからない都会育ちの無知な大学生が、実に凄い湯に浸かっていたのである。それを感じていたのだから、彼は凄いなと今更ながらに思う。

そんな時代から時は流れ、現在では日本三大秘境と言っても当時とは異なり道路も整備され、かつてのようにアクセスに難がある温泉地というわけではない。しかしながら、そんな祖谷温泉郷にあって、良い意味で取り残され秘湯感がそのままに残されている宿が、この「和の宿 ホテル祖谷温泉」だ。

小便岩の名物コーナーの先に佇む一軒宿は、アクセスが良くなったとはいえ、祖谷渓谷の大パノラマを望む環境は何も変わっていない。まさに秘境そのものであり、標高差170mの傾斜角42度の断崖を、5分かけケーブルカーでゆっくりと谷底へと下っていくと、そこには自噴泉とともに源泉かけ流しの極上の露天風呂が待っている。

今もってこの露天風呂を取り巻く環境は、何一つ想い出の中の温泉と変わっていないのである。この湯に浸かり昔を思い出しながら少々安心した。多くの人が抱くこの祖谷温泉のイメージそのままに、決して裏切らないお湯となっている。

白い湯の花が浮いた白濁した湯舟は、秘湯感たっぷりの旅情あふれるもので、眼前に開ける渓谷美とともに申し分の無いものだが、そんなありきたりの表現では言いつくせない、日本三大秘境の湯という特別なものがここにはある。

それがあるから、この湯が残されているから、そしてこの「和の宿 ホテル祖谷温泉」があるから、ここまで来たくなるのである。

まだまだ大丈夫だな…と、久しぶりに訪れホッ！とした。

その後、2020年の新型コロナウイルスの影響で経営難が囁かれ心配したが、子会社化され穴吹グループ傘下となり新たに営業が再開され、再度ホッ！とした。

まだまだ大丈夫だな…、また谷底の露天風呂へ行こう！と。

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