洒水の滝（しゃすいのたき）とは？

神奈川県の足柄山麓の山北町にある、酒匂川（さかわがわ）の支流である滝沢川から流れ落ちる落差115mの滝で、1979年に『かながわの景勝50選』に選ばれると、1985年には『名水百選』に、1990年には『日本の滝百選』に選定された名瀑。2001年には『かながわ未来遺産100』にも選定されている。

"洒水" とは密教で加持した香水（こうずい）をそそぎ道場や身を清める儀礼のことをいい、落差69.3mの一の滝、16.0mの二の滝、29.7mの三の滝からなる三段の滝は古くから相模国第一の滝とされ、鎌倉時代初期の謎の怪僧 文覚（もんがく）も100日間この滝の水に打たれ荒行を行ったとされる。すぐそばに文覚上人ゆかりの不動明王を安置する「滝不動尊」がある。

2004年の落石以降、長らく赤橋より先が立入禁止となっていたが、2022年4月8日に226段 全長118.8mの遊歩道とその先に地上40mの「観瀑台」が整備され、雄大な滝の流れが楽しめるようになった。

また毎年7月の第4日曜日には「洒水の滝祭り」が行われ、箒持ちを先頭に馬鈴師や導師･僧侶らによる遊歩道を掃き清める安全祈願の "名瀑おろし" の儀式や、神通自在（じんずうじざい）･六根清浄（ろっこんしょうじょう）を唱えながらの信者による滝行や、洒水太鼓・奉納舞踊・火祭りなどが執り行われる。

尚、江戸時代に昌平坂学問所で編纂された『新編相模国風土記稿』では、洒水の滝は "蛇水の滝" と記載されている。