メキシコ記念公園（めきしこきねんこうえん）とは？

千葉県の御宿町岩和田の轟山の丘の上にある、眼下に岩和田漁港を見下ろし、『月の沙漠』で知られる御宿海岸を遠く望む高台に建つ、白亜の鉄筋コンクリート製で高さ17mの「メキシコ記念塔」が目印となる公園。

1609年9月30日に、フィリピン諸島総督ドン･ロドリゴことロドリゴ･デ･ビベロ･イ･ベラスコ率いる サンフランシスコ号 が、マニラからアカプルコへ向けて航海中に嵐に見舞われ難破。2ヶ月もの間太平洋を彷徨った後に、この地に漂着した。

この時鎖国下にありながら岩和田の村民たちが、乗組員373名中317名を人道的に救助し介抱した後、幕府の計らいにより将軍 徳川秀忠や駿府の徳川家康との謁見や三浦按針による新造船の提供を受け、翌年無事にメキシコに帰国した。

このサンフランシスコ号漂着の史実を後世に伝えるとともに、親交の証として1928年10月1日に落成式を行い、当時メキシコがスペインの属領であったことを踏まえ3国が協力して建てたのが、メキシコ記念塔と呼ばれる「日西墨三国交通発祥記念之碑（にっせいぼくさんごくこうつうはっしょうきねんのひ）」だ。

当初は正面に徳川家達公爵の題字、左面にスペイン国王 アルフォンソ13世の、右面にメキシコ大統領 プルタルコ・エリアス・カリェスの書による青銅板プレートが埋め込まれた大理石の塔だったが、戦時中に空襲などにより大理石が剥がれ落ち損傷。1958年の改修工事で大理石をすべて剥がし簡素なホワイトセメント仕上げとなった。

それを1977年に当初の輝きを取り戻すべく、メキシコ政府の援助のもと再度大理石仕上げとし庭園の整備も行い、建立50周年記念となる1978年11月1日にロペス大統領を迎え盛大に除幕式が行われた。この時公園入口に「ロペス・メキシコ大統領来訪記念碑」も建てられた。

さらに2009年には、日本メキシコ交流400周年を記念して、メキシコ政府より御宿町にラファエル･ゲレロ･モラレス作の『抱擁』像が寄贈された。