かずら橋とは?
徳島県三好市西祖谷山村善徳にある、シラクチカズラ(サルナシ)を使って架けられた長さ45m 全幅2m 有効幅1.5m 水面上14mの歩行者専用の吊橋で、現在は安全のためワイヤー補強された直路式吊床版橋となっている。
流失した黒部の愛本橋に代わり、甲斐の 猿橋・岩国の 錦帯橋 と共に「日本三奇橋」に数えられる橋で、1954年11月1日に"蔓橋の製作工程"が 国の記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財 に指定されると、翌1955年2月3日に"祖谷の蔓橋"として 国の重要有形民俗文化財 に指定。1986年には "ふるさとが誇りとする橋" の30選の1つとして『手づくり郷土賞』受賞。また2012年10月には、トリップアドバイザーの『死ぬまでに渡りたい!? 世界の徒歩吊り橋10選』にも選ばれている。
伝説によると、弘法大師が通行に窮する村民のために架けたとも、平家の落人が追手を防ぐために切り落とせる橋を架設したとも言われるかつて13本あった「祖谷のかずら橋」。その中で唯一残されているのがこの「善徳のかずら橋」で、日本で最も知られることから単に "かずら橋" と呼ばれる。
1923年に並行して床板が平らなワイヤー吊橋が出来たことから一時消失していたが、1928年3月に地元の惜しむ声を受け復元。この時、敷綱にワイヤーロープが追加され、毎年架け替えていた橋は負担軽減され3年ごととなった。また毎日19:00~21:30に夜間ライトアップが行われている。
近くに2006年2月19日に観光拠点として開業した「かずら橋夢舞台」や、平家の落人が都を偲び琵琶を奏でたという平家伝説が残る落差40mの「琵琶の滝」がある他、30kmほど離れた東祖谷に「奥祖谷の二重かずら橋」がある。

かずら橋 の 広告
日本三奇橋で国の重要有形民俗文化財!
"かずら橋"の代名詞となっている、3年ごとに架け替えられる祖谷のかずら橋。日本三奇橋で国の重要有形民俗文化財だが、その製作工程も国の記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財に指定されているよ!
敷き板が無い足元に注目!
よくある上から吊った吊橋ではなく、敷綱にワイヤーがある吊床版橋だよ! スッポリ足が抜けることもあるので注意のためでもあるが、敷綱のチェックのためにも怖くても足元は見よう!
『死ぬまでに渡りたい!? 世界の徒歩吊り橋10選』だよ!
2012年10月に夢の吊橋とともに、トリップアドバイザーの『死ぬまでに渡りたい!? 世界の徒歩吊り橋10選』に選ばれているよ!
かずら橋 の 魅力



かずら橋 の 見どころ

国の重要有形民俗文化財「祖谷の蔓橋」
1955年2月3日に、国の重要有形民俗文化財に指定された「祖谷のかずら橋」。写真中央に見える両岸より斜めに突き出た一般的には腕木と言われる"ふち木"が特徴的だ!水面から14m程で長さも短いため谷瀬の吊橋のような恐怖感はそれほど感じられないが、かずら橋ならではの感覚は独特だ!

400年いや1200年!?とも言われるその歴史
伝説によると、1200年前に弘法大師が村人のために架けたとも、700年前に平家の落人が切り落とせる橋を架けたとも言われるかずら橋。江戸時代の1641年に描かれた『阿波国大絵図』や1647年の『阿波国海陸道度之張』にはすでに7本のかずら橋が登場しており、少なくとも400年の歴史を物語る。

かずら橋が『世界の徒歩吊り橋10選』に!
かつて13本あった祖谷のかずら橋だが、西祖谷地区にあった3本(善徳・下名・小祖谷)の1つがこの「善徳のかずら橋」だ。他がワイヤー吊橋に代わって行く中、大正末期にはかずら橋は善徳を残すのみとなっていた。
そんな善徳のかずら橋も、1923年に統廃合により善徳小学校へ通うこととなった対岸の3地区の児童の通学路の安全確保のために、床板が平らなワイヤー吊橋がすぐ横に完成し一時消失していたが、1928年3月に地元の惜しむ声を受け復元された。この時、敷綱に直径14㎜のワイヤーロープが追加され、横木もコンクリート製のアンカーブロックに繋がれた。
さらに1988年の改修で、敷綱のワイヤー径が22㎜となり、横木もコンクリート製の擬木となり、さらに新たなアンカーブロック構造を採用して岩盤に左右4本づつアースアンカーが打ち込まれた。あまり知られていないが、1970年代からの観光客の増加に伴い橋が悲鳴を上げていて、改修前には度々橋の袂に地割れが起きていたという。
ちなみに善徳小学校は2010年より休校となり、2013年3月末で廃校となっている。この間かずら橋は、2012年10月にトリップアドバイザーの『死ぬまでに渡りたい!? 世界の徒歩吊り橋10選』に、夢の吊橋とともに選ばれている。

大混雑のかずら橋
祖谷渓を代表する観光スポットと言うだけあって、ひとたびツアー客が押し寄せると、吊り橋の上は大混雑となり、興奮のあまりはしゃぐ人の声が響きわたる。大勢だと逆に大きく揺れてさらに時間もかかるので、欄干にあたる高さ1.1mの"うわでとり"に両手でしがみついて渡る人も多い。

一方通行のかずら橋
当然ながら多くの観光客で賑わうかずら橋の通行は一方通行となる。長さのわりに有効幅が1.5mとゆとりがあるため、大勢で渡っても窮屈感は無い。今は安全のために敷綱に5本のワイヤーが通されているので問題ないが、毎年架け替えが必要だった頃のかずら橋だったら、即落ちしてただろう。

吊橋だけど吊橋じゃない!?
敷き板が無いので足元をよく見ると、1928年の復元時に導入され1988年に直径が14㎜から22㎜になった5本のワイヤーが被覆されかずらに紛れて見える。ここでピンとくる方もいると思うが、今のかずら橋は所謂上から吊られた一般的な吊橋ではなく、ワイヤーそのものが橋床となる吊床版橋だ。

スカスカ感がたまらん!
山で採取された直径2cm以上で長さ5~10mのシラクチカズラがよられ綱となり、さらに縦横斜めにねじったり差し込んだりしながら独特の結び方が施され橋が作られている。かずらの結び目やより方に注目してほしいが、それ以上に気になるのが、足元以上の横のスカスカ感だ!

3年ごとに架け替える祖谷のかずら橋
かずら橋の架け替えは、1928年の復元後は概ね3年ごとに行われる。11月頃より20日間かけ山奥より5~6tのかずらを採取し、軽トラで何往復もしながら運び出し、事前に生のかずらを蒸気で蒸して柔らかくして雲綱を編み上げておく。
年明けの1月中旬~2月にかけて古いかずらを外す"古橋落し"が行われ、ワイヤーと木材だけになった橋に、雲綱を括り付けワイヤーやさな木にかずらを巻き付け固定して行くという大変な作業だ。1954年11月1日に、この"蔓橋の製作工程"が国の記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財に指定されているが、ワイヤー補強が無かった1923年以前は必要に迫られていたとはいえ、毎年架け替えていたのだから驚く!
ちなみに1985年発行の『西祖谷山村史』では、1958年の橋の実測値として長さ44.5m 幅1.4m 水上高11.8mとの数値が記載されていて、架け替えにより若干の差はでるだろうが、今より2m以上も水上高が低い。1961年に竣工した名頃ダムの影響で水面が下がったのか? はたまた橋のたわみが大きかったのだろうか!?

敷き板が無い!祖谷のかずら橋
敷板が無いので足元には注意! さな木の間隔は概ね10~20cm位だが、ズレて25cm位開いていることもあり、また写真のように横を向くとスッポリ足が抜けるので、大人でも危険だ! 怖くても足元は見て渡ろう!

巨石がゴロゴロ!祖谷川の河原
かずら橋を渡ったら祖谷川の河原へ降りてみよう! 巨石がゴロゴロとしていていて、とても大歩危峡のように舟下りなどできない感じだ。上から眺めるのとは違い、想像以上の起伏感と迫りくるV字効果で、ちょっと不思議な感覚に陥る。

祖谷川
剣山を水源とし祖谷口で吉野川に注ぐ、延長53.8kmの一級河川の祖谷川。交通網の発達とともにこの祖谷渓にも多くの観光客が押し寄せ、かつての秘境の面影はやや薄れてしまったが、所々人工物はあるものの、まだまだ祖谷渓には手つかずの自然が残されている。

かずら橋・祖谷渓大橋・新祖谷渓大橋
1966年にかずら橋の下流40mに祖谷渓大橋が完成。さらに1989年1月に、写真では重なり見えづらいが奥に隣接して長さ52.1m 幅5mの新祖谷渓大橋が完成し、手前の祖谷渓大橋は歩道専用橋となり多くの観光客が足を止める眺望スポットとなった。あの背後の不快な近代建築物が惜しまれる…。

かずら橋夢舞台
かずら橋が1970年代より祖谷渓を代表する観光スポットとなり、観光客の増加に伴う駐車場問題や周辺道路の渋滞緩和、さらには町おこしとしての役割も担い、2006年2月19日に秘境祖谷大橋の開通とともに開業したのが「かずら橋夢舞台」だ。実に総事業費は43億円!

現代版懸造のあの建物が惜しまれる…
かつてのかずら橋をイメージしながら再訪し愕然としたのが、この景観をぶち壊す現代版懸造の外観だ。私が初めて訪れた頃にはこの不快な近代建築物は無く秘境らしかったのだが、なんで擬木にしたりワイヤーを被覆するかずら橋の配慮の様に、もっと自然に溶け込む外観にしなかったのか…。

物産館&食事処
外観とは異なり、内部は木のぬくもりが感じられる造りで、地場の特産品が売られている他、食事処「かずら橋亭」では名物の祖谷そばが味わえる。なぜこの雰囲気を外観に採り入れなかったのか…と、本当に惜しまれる。

日本の原風景 かずら橋
秘境ゆえの過疎化による後継者不足や、シラクチカズラの枯渇など、3年ごとの架け替え工事は今後ますます難しくなってくると思う。一度は姿を消したかずら橋。いつまでもこの日本人の琴線に触れる風景が残ることを切に願う。
かずら橋 の 見頃・おすすめ時期
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月祖谷平家まつり | 11月紅葉 | 12月 |
かずら橋 の 基本情報
名称 | かずら橋 / 祖谷のかずら橋 |
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読み方 | かずらばし / いやのかずらばし |
英訳 | Kazurabashi Bridge Kazurabashi Vine Bridge Iya-no-Kazurabashi |
郵便番号 | 〒778-0102 |
所在地 | 徳島県 三好市 西祖谷山村善徳162-2 |
駐車場 | あり ※かずら橋夢舞台 |
お問合せ | 0883-76-0877(三好市観光案内所) |
アクセス | 現在地 からの ルート と 所要時間 |
登録・指定 | 国の重要有形民俗文化財 記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財 |
選定・表彰 | 日本三奇橋(代替) 手づくり郷土賞 死ぬまでに渡りたい!? 世界の徒歩吊り橋10選 など |