旧吹屋小学校とは?
岡山県高梁市成羽町の 吹屋ふるさと村 にある、2012年3月の閉校まで「現役最古の木造校舎」「現役日本最古の小学校校舎」とされてきた小学校跡で、2003年3月に 岡山県指定重要文化財 に、2020年6月には「旧吹屋小学校校舎」として 日本遺産 の構成文化財に指定されている。
1873年に「拡智小学校」として開校、1899年に現在の場所に移転し「吹屋尋常高等小学校」と改称。1900年に左右の木造平屋建の東校舎・西校舎が、1909年に中央の木造2階建寄棟造の本館が造られた。
戦時下の1941年に「吹屋国民学校」となるものの、戦後の1947年の学制改革により「吹屋小学校」となり長きにわたり歴史を刻んできたが、2012年3月末で閉校となった。
その後、保存修理工事を経て2022年4月21日に「旧吹屋小学校」としてオープンし、吹屋の歴史や文化の情報発信拠点となっている。

旧吹屋小学校 の 広告
かつての吹屋の繁栄振りが垣間見れる学校建築だよ!
下見板張の外壁や軒下の筋違による意匠が印象的なノスタルジックな校舎を、隅々まで見学しよう!
左右に翼を広げる吹屋小学校の校舎に注目!
航空写真で見ると、尾は無いものの平等院鳳凰堂のような形がわかるよ!
ロケ地として知られる日本遺産だよ!
NHKの連続テレビ小説『カーネーション』や『ごちそうさん』にも登場した趣のある校舎だよ!
旧吹屋小学校 の 魅力



旧吹屋小学校 の 見どころ

吹屋小学校
2012年3月まで、100年という時を経て現役最古の木造校舎として使用されてきたその堅牢さからも、この吹屋小学校に使われた部材の秀逸さは感じ取れるが、折上式の格天井の講堂や吹抜けの大廊下、はめ殺しの明かり窓や下見板張の外壁など、その贅沢な意匠にかつての吹屋の町の勢いを感じる。レトロ感漂う建物は幾度となくドラマやCMに登場してきており、1990年の裸の大将シリーズ『清とベンガラの花嫁』や、2009年の浅見光彦シリーズ『後鳥羽伝説殺人事件』の他、NHKの連続テレビ小説でも2011年の『カーネーション』と2013年の『ごちそうさん』に登場している。現役を退いた今後は、さらに活躍の場を広げていくことだろう。

平等院鳳凰堂のように翼を広げる校舎
吹屋小学校の校舎は、中央の下見板張りの桟瓦葺きの本館だけではない。航空写真を見れば一目瞭然なのだが、尾は無いものの平等院鳳凰堂のように左右の校舎が手前にせり出し大きな翼を広げている。都会の学校を見慣れた人からすれば、その大きさに驚く人は少ないだろうが、ここまでのアクセスを考え冷静に頭を働かせれば、分校で充分事足りる今や人口100人程のこの町に、これだけの規模の校舎が存在していたことに驚くはずだ。それだけかつての吹屋の町が銅山と弁柄により繁栄していたという証だ。 ちなみに1904年には、吉岡銅山だけで約1600人もの人が働いていた。

吹屋小学校碑
かつて吉岡銅山の隆盛により日本三大銅山の町として輝き、日本で唯一のベンガラの産地として繁栄を極めた吹屋の町の歴史を今に伝える貴重な文化財建造物として、2003年3月11日に岡山県指定重要文化財に、2020年6月19日には「旧吹屋小学校校舎」として日本遺産 "「ジャパンレッド」発祥の地" の構成文化財に指定されている。

吹屋小学校 正面玄関
吹屋小学校の延床面積は本館が231.9坪、東校舎が82.3坪、西校舎が62.7坪となっている。何代にも渡って吹屋の町の人々が足を運んだ小学校の正面玄関は、きれいに清掃され花に囲まれた場所だった。少子化・過疎化が進む日本にあっては廃校は避けられないことだが、在校生7人を残しその決断を強いられた方々はさぞ苦しかったことだろう。

教室
1918年にはこの山奥の学校に369名もの児童が通っていた。現在の吹屋の人口の3倍以上となる児童数で、それが2012年の閉校時にはわずか7名となり一斉にプールで競争ができる程だった。私も児童17名で閉校となった小学校に長らくお世話になっていたので、年々児童が減って行く感覚はわかる。

校長室
私が小学生だった頃は、今の感覚で言うと知事室くらい恐れ多い場所で、校長室に入った記憶は何かの表彰の時に一度だけだった気がする。仕事で地元の小規模特認校の校長室を訪れるようになってから意識することは無くなったが、果たして皆さんの小学生時代はどうだったのだろうか?

擬洋風建築と言われる吹屋小学校
正面から見た吹屋小学校のデザインは、明治期に盛んに建てられた塔屋やバルコニーが見られる開智学校や岩科学校などの擬洋風学校建築とは一線を画す落ち着いたデザインで、私が見た中では金成小学校が似た感じだ。この吹屋小学校の外観を模して造られたのが、隣に建つ「ラ・フォーレ吹屋」だ。

ラ・フォーレ吹屋
吹屋小学校を見下ろす、在校生13名を残し1989年3月31日に閉校となったかつての吹屋中学校の跡地に建つ宿泊施設で、SRC造ながら外観に解体された校舎の部材を流用した農林漁業体験実習館の機能を併せ持つ施設だ。休業を経て、2023年7月25日にリニューアルオープンしている。

ライトアップも行われる吹屋小学校
岡山県には閑谷学校という国宝があるのだが、歴史があり過ぎてどこか遠い存在だ。地元静岡に国指定重要文化財の岩科学校というノスタルジックで親近感が湧く小学校があるのだが、吹屋小学校はそこと似た感覚で身近に感じる。夜間にライトアップされ暗闇にぽっかりと浮かび上がる校舎の姿も、ノスタルジックでほっこりする。

「報道ステーション」で現地生中継!
閉校式が行われた2012年3月20日には、テレビ朝日の「報道ステーション」にて生中継が行われ、教諭による"100年オルガン"の演奏シーンなどが放送された。何も知らずにテレビを見ていて、驚きとともに自然と涙が溢れてきたのを思い出す。まさかそれから9年後に前述の小規模特認校が閉校となり、少なからず自分が当事者になるとは思わなかった。

現在の旧吹屋小学校
2015年8月より5年計画で始められた解体修理は、想定外の追加補強工事が発生し2年遅れの2022年3月に9億5000万円の費用をかけ完了した。保存修理工事を経て2022年4月21日に「旧吹屋小学校」としてオープンした施設は、遊具が撤去されプール周りも原型は留めつつも大きく姿を変えている。私世代には、カラフルなジャングルジムやブランコ・タイヤ跳び、それにここには無かったが遠心力で降り飛ばされる回旋塔などが懐かしいわけで、学校色が色濃く残っていたかつての風景の方が郷愁感があって良かった。まぁ観光資源としてこれから先の利便性を考えれば致し方ないことなのだろうが、それでも…と思ってしまう。いずれ馴染んでくるのだろうか…。
旧吹屋小学校 の 見頃・おすすめ時期
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月紅葉 | 11月紅葉 | 12月 |
旧吹屋小学校 の 基本情報
名称 | 旧吹屋小学校 |
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読み方 | きゅう ふきやしょうがっこう |
英訳 | Former Fukiya Elementary School |
郵便番号 | 〒719-2341 |
所在地 | 岡山県 高梁市 成羽町吹屋1290-1 |
駐車場 | なし ※下町観光駐車場を利用 |
お問合せ | 0866-29-2811 |
アクセス | 現在地 からの ルート と 所要時間 |
登録・指定 | 日本遺産 岡山県の重要文化財 |
選定・表彰 |