京都府庁旧本館とは?
京都市上京区のかつての「京都守護職上屋敷跡」に建つ、ルネサンス様式でネオバロックの要素も取り入れたレンガ造の地上2階建、延床面積約6100㎡の旧府庁舎本館。
京都府の技師 松室重光の設計により、総工費約36.6万円をかけ、明治後期の1901年11月に起工、1904年12月20日に竣工、以後明治・大正・昭和と三時代に渡って1971年まで本館として使用される。
創建当初の姿をとどめる官公庁舎としては、日本最古の建造物とされており、2004年に国の重要文化財に指定されている。
建物内部には大小55室があり、「正庁」や「知事室」など一部が当時の様式のまま一般公開されている他、西欧風の庭園として整備された中庭の中心には「円山公園の初代枝垂れ桜の孫桜」が、そばには京都守護職だった松平容保公にちなみ命名された「容保桜」が植わり、京都の桜の名所としても知られる。
また正門そばには、かつてここに半年ほど開校していた、慶応義塾の分校の「京都慶應義塾跡」の碑が建っている。
京都府庁旧本館の見所
京都府庁旧本館 正面
国の重要文化財であるこの京都府庁旧本館を訪れたのは、実は中庭に咲く美しい枝垂れ桜が目当てであって、恥ずかしながらここに来るまでこの建物のことは何も知らなかった。お花見を楽しんだ後、内部を見学するうちに、時間が経つのも忘れその素晴らしさに魅了されていった。特に旧知事室と正庁の造りは、建築に興味のある人ならじっくり見たい所であり、また左右に翼を広げたルネサンス様式の建物外観もまたしかりである。
円山公園の初代枝垂れ桜の孫桜
京都の桜の名所として知られる、あの円山公園の初代枝垂れ桜の孫桜にあたる桜だ。しかも植林ではなく、種子がぽとりと落ちて芽を出した実生木。
なぜか母校のキャンパスを…
建物の外観だけでも充分美しいものだが、桜が咲く時期になると、さらにその美しさが際立つ。なぜか母校のキャンパスを思い出してしまった。
贅沢なお花見
中庭の桜の木々を眺めながら、2階の通路をぐるっと巡ると、なんとも贅沢な光景にお目にかかれる。通常の花見とは異なり、見下ろす光景は新鮮だ。
三連のガラス格子窓越しの枝垂れ桜
格別なのは、階段ホールの三連のガラス格子窓越しに見る枝垂れ桜で、この眺めは実に絵になるものである。実際にテレビや雑誌でこのカットを目にすることもあり、わたしが京都府庁旧本館を訪れたきっかけも、この光景を目にしたかったからである。うっすらと桜色に染められたやさしい光が階段ホールへと漏れてくる感じがたまらなく、時を忘れ佇んでしまう。時間に迫られつつも、なかなか階段ホールをあとにできなかったことを覚えている。
旧知事室
遠く比叡山を望む南東の角部屋で、落ち着いた空間となっている旧知事室。重職である知事の政務にあたるには、これくらいのゆとりが必要なのだろう。
正庁
凝った造りの折り上げ小組み格天井と、やさしい光が漏れる、三連の開口部上部の丸い明かり窓がなんとも憎らしく、魅力ある空間に仕上がっている。
階段ホール
スペース効率と機能性だけを追求した現在のビル建築にはない、こういった空間に魅せられてしまう。何気に凄く凝った意匠をしている。
ルネサンス様式の美しい洋館をご覧あれ!
外観だけでなく、旧知事室・正庁・階段ホールなど、明治期の洋館の美を堪能しよう!
お花見シーズンに訪れよう!
中庭に咲く美しい桜は、円山公園の初代枝垂れ桜の孫桜となる実生木だよ!
容保桜や五条大橋の石柱も見逃すな!
中庭には、孫桜の他に京都守護職 松平容保にちなんだ容保桜や、秀吉建造の五条大橋の橋脚の石柱もあるよ!
京都府庁旧本館 編