三重県旅行観光ガイド『楯ヶ崎
楯ヶ崎 Vol . 67
楯ヶ崎
(三重県 熊野市)
‐ Mie ‐
三重
Presented By 星★聖
楯ヶ崎(三重 熊野)
国内旅行観光ガイド『名勝・史跡★百景』 > 楯ヶ崎 楯ヶ崎をご覧になるにあたって
楯ヶ崎の評価
楯ヶ崎の評価
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■ 楯ヶ崎とは?

 三重県熊野市の二木島湾の入口にある、神武天皇が上陸した地と伝わる、柱状節理が見事な名勝地。高さ80m~100mの柱状の岩が、数百も切り立ち連なっており、周囲550m~600mにわたり壮大な光景をつくりあげている。
 国道311号線沿いに入口があり、そこから約2kmのハイキングコースが整備されており、途中に、阿古師神社や二木島灯台、千畳敷などがある。また遊覧船によるアクセス方法もある。
楯ヶ崎のPR
おすすめシーズン
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
突然現れる柱状節理の絶景が味わえるのは、陸路ならではだよ!
楯ヶ崎展望台は、楯ヶ崎を展望できるような場所ではないので注意!
千畳敷のちょっと沈み込むような不思議な感覚を体感してみよう!
~ 楯ヶ崎 編 ~ 温泉マイスター 星★聖(ほし たかし)
楯ヶ崎の見所
楯ヶ崎 入口 遊歩道 落石に注意!
楯ヶ崎 入口 ハイキングコース 落石に注意!
国道311号線沿いにある楯ヶ崎へのハイキングコースの入口。ここから約2kmのアップダウンが激しい山道が始まる。駐車スペースはあまり多くないので注意。 ハイキングコースが整備され、誰でも歩けるようになっているが、甘く考えていると結構足にくるので、無理をせず自分のペースで歩こう。 落石に注意!よくある看板文句だが本当に注意してほしい。私が歩いた時にも、当たったら即死のデカイ石が2箇所道を塞がんばかりに転がっていた。
二木島湾の入り江 阿古師神社 さぁ行こう!と思うも…
二木島湾の入り江 阿古師神社 さぁ行こう!と思うも…
一気に開ける感じでこの入り江に降り着く。体感的には着いた~という感じだが、まだまだ半分。ここで休憩することをおすすめする。 二木島湾の入り江に建つ阿古師神社。毎年 二木島湾を挟んで向かいある室古神社との間で、船による競い合う二木島祭りが執り行われる。 さぁ行こう!と思うも、海岸線沿いにぐるっと回って行くような道は無し。辺りを見回しトーンダウン…、ここから一気に上る上る!
これじゃないよ! 二木島灯台 沈み込む?岩
これじゃないよ! 二木島灯台 沈み込む?千畳敷
一見「これが楯ヶ崎かぁ~」と、思わず間違えそうになる柱状節理を見せる場所。だけどここじゃないので、これを見て引き返さないように! 二木島湾の入口にあたる英虞崎に立つ、高さ12mの白塔形の二木島灯台。灯台としては、高さも無く小さな小さな灯台だが、この地で果たす役割は大きい。 とにかく柱状節理が至る所で見られる千畳敷の上を歩いて行くのだが、見た目は固い岩のはずなのに、何度歩いても沈み込む感じ。ちょっと不思議!
大きな一枚岩? 楯ヶ崎 柱状節理
大きな一枚岩? 楯ヶ崎 柱状節理
平らなところが無いくらいうねった岩場で、柱状節理とバカでかい大きな一枚岩?のところと、歩いていて地球の神秘を感じる。頭が見えるのが楯ヶ崎。 実に見事な柱状節理で、想像以上に高さがある。海もきれいで、打ち寄せる波しぶきがまた美しい。長々歩いてきただけのものはあり感動! 岩場の先へ行き、波打ち際をのぞきこむ。柱状節理ならではの、スパッとした切れ味の良い角ばった大地の景観は一種独特のもの。
楯ヶ崎の地図
基本情報
■名称:楯ヶ崎
■読み方:たてがさき
■関係ホームページ:楯ヶ崎観光遊覧
■所在地:三重県熊野市甫母町606
■問合せ:0597-89-0100(熊野市観光協会)
観光情報
三重県グルメ情報
星★聖の名勝・史跡探訪記 『楯ヶ崎』 編

圧巻!楯ヶ崎の柱状節理

いにしえより神々が宿る地とされる、三重県熊野一帯は、2004年、「紀伊山地の霊場と参詣道」として、日本で12番目世界遺産に登録されました。

熊野といえば、「大門坂」をはじめとした「熊野古道」や「青岸渡寺」「那智三山」「那智の滝」などが有名ですが、山々だけでなく、熊野灘の波が打ち寄せる海岸線にも、神秘的な名勝地があります。

そんな熊野の名勝地のひとつが、二木島湾(にぎしまわん)の入口にある 『楯ヶ崎』(たてがさき)です。

楯ヶ崎は、同じく海岸沿いにある奇岩の景勝地「橋杭岩」などとともに、岩場の絶景スポットとして知られていますが、この熊野灘に突き出た楯ヶ崎は、「層雲峡」や「玄武洞」でもお馴染みの、柱状節理と呼ばれる独特の地形が特徴となっています。

柱状節理は、溶岩が地表を流れ、空気と地面により冷やされていく過程で形成され、冷却により徐々に生まれる割れ目が、柱が並んでいるように見えるため、こう呼ばれています。

そんな柱状節理の中でも、この楯ヶ崎の柱状節理は特別すばらしいもので、地質学的にも観光地としても、全国屈指のものとなっています。


高さ100mにも及ぶ柱状節理

この熊野の海岸線には、楯ヶ崎のような柱状節理が数多く見受けられますが、花崗斑岩(かこうはんがん)による、この楯ヶ崎の柱状節理のスケールは特筆もので、高さ80m~100mの柱状の岩が、数百も切り立ち連なっており、周囲550m~600mにわたり、壮大な光景をつくりあげています。

この楯ヶ崎は、まさに名勝地であり、この柱状節理の眺めは絶景と呼ぶにふさわしいものです。

古い文献においても、平安時代増基法師(ぞうきほうし)の紀行文に、「神の戦いたるところとて、楯が連ねたような厳どもあり」と、今と変わらぬこの楯ヶ崎の光景が描写されています。

また、江戸時代の「紀伊続風土記」にも、この楯ヶ崎の光景が、ありのままに記されています。

自分が普段歩いている地面とは、とても地続きとは思えない程、異様な空間を造りあげているこの楯ヶ崎。

自然の不思議さと、日常生活において忘れ去っている、アスファルトの下が、地球の大地である・・・ということを、改めて感じます。

一説には、神武天皇が上陸した地とされているこの楯ヶ崎ですが、この地に立って、このスケール感あふれる光景を眺めていると、そのような伝説に素直に耳を傾けられるような、そんな気持ちになってきます。


意外に苦しい、楯ヶ崎への道

そんな楯ヶ崎のこのすばらしい眺めを楽しむ方法には、2通りあります。

1つは、国道311号線沿いにある駐車場から、てくてく歩いて行く方法で、もう1つは観光遊覧船にて、港から楯ヶ崎へとアクセスする方法です。

陸路は、片道1.9kmの山道で、ハイキングコースが整備され、誰でも歩けるようになっていますが、落石の危険があります。

しかもここの落石は、そこらの落石とは違い、一個の石のデカイこと、わたしが歩いた時も、2箇所ほど、道を塞がんばかりの大きな石が転がっていました。

こればかりは、天のみぞ知る・・・ということで、どうしようもありませんが、落石の危険があることは意識しておいてください。

海路は、港から遊覧船で楯ヶ崎周辺を巡り、海から眺めるというもので、お金はかかりますが苦労はありません。

わたしは、歩いてこの楯ヶ崎を目指しましたが、前日の熊野古道巡りもたたって、往復2時間コースのこの道のりは、結構足にくるものでした。

山腹の国道沿いのハイキングコース入口から歩き出してすぐに、ひたすら下っていく石段に、帰りの道のりに一抹の不安を抱きつつ進みましたが、さらにどんどん下って行くというものでした。

おまけに、この石段の間隔が微妙で、一歩には長く、二歩では同じ足にばかり負担がくるという・・・なんとも厄介な石段でした。


2つの神社の競い合い?

石段に苦労しつつ下っていくと、やがて楯ヶ崎までの行程のちょうど中間地点である、二木島湾の入り江に出ます。

中間点ということもあり、ひと息いれたくなる・・・そんな気分にさせてくれる入り江ですが、この入り江にひとつの神社が建っています。

鳥居や常夜灯が無ければ、神社とわからないような・・・そんな小さな神社が、「阿古師神社」(あこしじんじゃ)です。

本堂は、神社と呼べるような造りにはなっていないのですが、この阿古師神社では、毎年、「二木島祭り」というお祭りが行われます。

このお祭りは、二木島湾を挟んで向かいある、「室古神社」(むろこじんじゃ)との間で、船による競い合いを行うというお祭りです。

古くは、旧暦の5月5日11月2日に行われていたというこの二木島の例祭は、現在は11月3日に行われており、神社での祭典のあと、8本の櫓を32人で漕ぐ「関船競漕」が行われます。

この関船競漕の由縁は、古くはこの二木島湾が国境となっていたことにあり、阿古師神社が「伊勢」の国だったのに対し、対岸の室古神社が「熊野」の国だったことにより、このような競い合いのお祭りになったとのことでした。

二木島祭りは、かつてこの地で活躍した水軍捕鯨船の早漕ぎを彷彿させる、海の男の勇壮な祭りとして、今もこの地に生き続けています。

そんな阿古師神社で一服していると、やがて楯ヶ崎への残りの行程が、海岸線沿いにぐるっと回っていくというような、平坦な道のりではないことに気付きます。

視線の先には、急な上り坂が続いており、ここからまた上ってまた下るのか・・・と、先を予感させる道が続いています。


紛らわしい?楯ヶ崎展望台

再び上りだしながら進んでいくと、もうすぐ到着というところで、道が二手に分かれます。

ひとつは楯ヶ崎展望台へと続き、もう1つは千畳敷・二木島灯台への道と表示されています。

後に、この二手の道は、周回路でありつながっていると分かるのですが・・・、わたしは迷わず楯ヶ崎展望台への道を選択しました。

この楯ヶ崎展望台までのラスト300mの道のりは急な上りで、最後にして結構な長さに感じられるものでした。

そしてたどり着いた高台(展望台?)は、イメージとは裏腹に、木々に遮られ展望など出来ない場所でした。

写真が撮りたい一心で、道を外れ危険を承知で崖を下りましたが、よくよく見ると視線の先にある柱状節理の光景は、写真で見る楯ヶ崎の光景では無いことに気付きました。

そして、その時ここが楯ヶ崎展望台ではないのかも?とも思いました。

高台=展望台という思い込みと、ご丁寧にベンチがあったこと、そして何より眼前に柱状節理があったために、ここが楯ヶ崎展望台と思い込んでしまったわけですが、ひょっとしたら楯ヶ崎展望台は別なのでは?などと思い始め、やられた?と思いながら先を急ぎました。

後でわかったのですが、楯ヶ崎にあるという意味での展望台であり、木々が茂っていなかった頃は、もう少し眺めも良かったようです。


どこまでがひとつの岩なのか?

展望台は?と思いながら進いんでいくと、やがて高台から下っていき、一気に開けた岩場に出ます。

その先には、見事な柱状節理を見せる楯ヶ崎の光景が広がっているのですが、その時やはりあそこが展望台だったのか・・・と。

しかしながら、そんなことをも忘れさせてくれる楯ヶ崎の光景は、苦労してたどり着き、最後の最後に開けてこの光景が目に入ってきた分、感動もひとしおなものでした。

写真で見ていた楯ヶ崎よりも、実際の柱状節理の高さはかなり高く感じ、天を突き刺す光景と言われることが理解できるものであり、近づくほどにその特異な形状に驚かされました。

そんな足元の岩場は、千畳敷と言われ、神武天皇が上陸した地として知られるところなのですが、楯ヶ崎に近づきながらも、くぼんで海水につかっていたり、雨水が溜まっているような場所は黒く変色しており、歩くと微妙に沈み込む?ような気がしました。

見た目は固い岩のはずなのに、何度歩いてみても、そんな感じが足の裏から伝わってきて、ちょっと不思議な感覚を覚えました。

またこの千畳敷には、どこまでが1つの岩なのかがわからないような場所があり、とても不思議な感じがします。

全部が1つに思えるほどで、柱状節理の出来る工程を考えるに、1つの岩なのかも?と思うほど、不思議な場所となっています。

このような体験が出来るのは、陸路ならではの楽しみなのですが、個人的にはやはり歩いて行って欲しいところです。

海路は徐々に近づくため、目にした時の感動は、陸路ほどは無いものの、陸路よりもすぐそばで楯ヶ崎の絶景が味わえるという点は、大きな魅力であり、陸路で見られない景勝地も巡れるのが魅力です。

ただし、あの楯ヶ崎を代表する光景は、角度的に見られません。

どちらも一長一短というわけで、当り前ですが両方行くのがベストです。

ただし、体力に自信の無い方は、迷わず海からのアクセスをおすすめします。

わたしが楯ヶ崎を訪れた時は、日差しのキツイ蒸し暑い日だったこともあり、帰路での最後の石段は、結構堪えました。

夏場など暑い日には、飲料水などを持っていかないと、途中には一切売店や販売機はありませんので注意してください。

この楯ヶ崎の眺めは、日本にもこういう場所があったのか・・・というほど圧巻です。

自然現象とはいえ、地殻変動や火山活動など、地球の鼓動を直に感じられる・・・そんな場所であり、是非みなさにも、この壮大な柱状節理の絶景を味わってもらいたいと思うしだいです。

神々が宿る熊野の、伝説の神武天皇上陸の地 楯ヶ崎に、是非とも訪れてみてください。
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