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北海道旅行観光ガイド『博物館網走監獄』 |
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Vol . 88 |
博物館網走監獄 |
(北海道 網走市) |
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‐ Hokkaido ‐ |
北海道 |
Presented By 星★聖 |
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博物館網走監獄(北海道 網走) |
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■国内旅行観光ガイド『名勝・史跡★百景』
> 博物館網走監獄 |
博物館網走監獄をご覧になるにあたって |
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■ 博物館網走監獄とは?
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北海道網走市にある、かつて実際に網走刑務所として使用されていた建物を天都山に移築し修復して保存公開している歴史野外博物館。
ベルギーのルーヴァン監獄を真似て造られたと言われる五翼放射状平屋舎房が特徴で、浴場や教誨堂などの刑務所施設の他、休息所や旧網走刑務所二見ヶ岡農場、釧路地方裁判所網走支部法廷復原棟、行刑資料館などがある。 |
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おすすめシーズン |
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五翼放射状平屋舎房をはじめ、囚人の目線で監獄施設を見て廻ろう!
格子の形など、独居房と雑居房の造りの違いに注目!
天井にいる、昭和の脱獄王 白鳥由栄の姿を見逃すな! |
~ 博物館網走監獄 編 ~ |
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基本情報 |
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■名称:博物館網走監獄 |
■読み方:はくぶつかんあばしりかんごく |
■ホームページ:博物館網走監獄 |
■所在地:北海道網走市字呼人1-1 |
■問合せ:0152-45-2411 |
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星★聖の名勝・史跡探訪記 『博物館網走監獄』 編 |
網走と言えば・・・
北のはずれ、流氷迫るオホーツクの厳しい寒波にさらされる町網走、そんな網走の名を全国区にしたのは、心ならずも網走刑務所だったのではないでしょうか。
幼心に、よく悪戯をされた時などに、「そんなことしたら網走行きにするぞ!」などと言っていたのを思い出しますが、もちろん、その頃のわたしには、北海道こそ知っていても、網走がどこにあるのかは分からず、ただただ寒い寒い日本の北のはずれの監獄のある場所・・・というイメージでしかありませんでした。
そんな網走刑務所は、高倉健主演の映画、「網走番外地」の影響もあり、多くの方が、網走と聞いて真っ先に、網走刑務所と答えるほど、今では知らない方がいないくらい有名になりました。
しかしながら、どんなところなのか? と問われて答えられる方は、なかなかいないわけで、そんな網走刑務所の姿を、入れない?一般人のために博物館として展示公開しているのが、ここ
『博物館網走監獄』です。
刑務所の姿を今に伝える、博物館網走監獄
博物館網走監獄は、もちろん現在の網走刑務所とは、場所も建物も異なりますが、かつて多くの受刑者が過ごした実際の舎房や、トレードマークの正門などが、移築や再現構築されています。
網走刑務所は、現在でこそ、短期受刑者のための施設となっていますが、創設された1890年から1968年までは、長期受刑者を収容する、とても警備の厳しい刑務所でした。
この博物館網走監獄は、そんな厳しい警護が布かれていた時代の網走刑務所の姿を今に伝えており、そこがこの博物館網走監獄を訪れる際の魅力の1つにもなっています。
実際に受刑者が、どういう部屋で過ごし、どういう生活をし、どういう監視下に置かれていたのか?、受刑者の食事は?楽しみは?、また、実際にあった脱獄劇の真相は?・・・などなど、事細かに説明されており、実に興味深い施設となっています。
また、「北海道開拓の歴史」と、網走刑務所をはじめとした受刑者達の労働とは、切っても切れない関係にあり、博物館網走監獄には、今の北海道をつくりあげた彼らの働きなども、実際の展示物をまじえながら説明されています。
鏡橋の先にあるものは。。。
博物館網走監獄は、網走刑務所から、網走湖方面に車を走しらせた、天都山の麓にあります。
実際の網走刑務所は、網走の市街地にありますが、市街地と言っても、隣接してはいるものの、網走川により隔離されており、網走刑務所への道のりは、この網走川に架かる一本の橋、「鏡橋」を渡ることから始まります。
この博物館網走監獄への道のりも同様に、まず全長29m 幅6mの、この鏡橋(再現構築)を渡るところから始まります。
多くの受刑者が様々な思いを抱きながら渡ったであろうこの鏡橋は、清き流れの網走川の水面を鏡として、我が身を映しだし、見つめ直すことにより、自ら襟を正して心を洗いきよめよ!・・・、との想いから、いつしか鏡橋と言われるようになったとされています。
そんな鏡橋を渡ると待っているのが、博物館網走監獄の入口となる、「網走刑務所二見ヶ丘農場門」です。
いよいよ入場!という期待感とともに、若干の緊張感を持ちつつ、洋館のお屋敷のような、この農場の門を抜けると、視線の先には、黒ずんだ赤レンガつくりの建築物が立ちはだかります。
今まで歩いてきた世界とは一線を画すような、すべてを断ち切る雰囲気を漂わせるこの建物こそ、網走刑務所の正門である、「赤レンガ門」(再現構築)です。
この赤レンガ門は、最果ての監獄として恐れられた網走刑務所のイメージが、ここに凝縮されているがごとく、この壁の向こうの世界と俗世とを完全に分断し、尚且つ容易に近寄りがたい雰囲気を漂わせています。
受刑者に恐れられたこの門の姿は、博物館とわかっていながらも、訪れる者の足を一瞬止めさせるほど、圧倒的な存在感と威圧感があり、最果ての監獄網走の名を確固たるものとすべく威厳を漂わせています。
「網走監獄ポテトチップス」にも描かれ、博物館網走監獄の、そして網走刑務所のシンボルでもある正門ですが、建築物として冷静に眺めてみると、直線とアーチが絶妙なバランスで組み合わさったデザインで、赤レンガの色合いと、シンメトリーなそのつくりは、建築物としての美しさを兼ね備えています。
特に、入口中心部の左右に走る、赤レンガ部分から、アーチ型の門を付きぬけ抜け地面まで達する縦のラインが、この門全体を引き締め、重厚さを増すデザインとなっています。
特徴的な左右のドーム型の部屋は、一方が「看守の部屋」で、もう一方が「面会者用の控え室」に使われていたもので、受付を済ませた家族や友人が、ここで面会の時を待っていました。
そんな正門を抜けると、面会所としても使われた、いかにも明治の洋館といった感じの「庁舎」(移築)があります。
正門の両サイドには、通用門として使用された「裏門」(移築)と、「外役所正門」が建っています。
特に、移築建築物である裏門の姿は、実物ならではの歴史を感じさせるもので、かつて多くの受刑者が、この門の下から北海道開拓に出向いていったのか・・・と、思わず考えさせられるものとなっています。
北海道開拓の歴史がここにある!
広い敷地内を、順路どおり、裁判所、倉庫、休泊所・・・と見ていくと、いつしか誰かに監視されているような・・・、遠い視線を感じます。
そんな気配に目を向けると、山肌に、樹木に囲まれながら建つ「高見張り」があることに気付きます。
高さ8mの高見張りは、文字通り敷地内での受刑者どうしの争いや、逃走を監視すべく設けられているもので、看守により交代で見張りが行われていました。
そうこうしていると見えてくるのが、「行刑資料館」です。
実は、この博物館網走監獄を訪れた方の多くが、一番驚くのが、この行刑資料館の展示内容だと伺いました。
そういう私も、ここに展示された数々の資料や道具などを見て、はじめて受刑者と「北海道開拓の歴史」が結びつき、彼らの労力の偉大さや、北海道開拓における貢献度合いに、ビックリしました。
彼らの働き無くしては、現在の北海道の発展は無かったといっても過言ではなく、彼らの労働のすばらしさと同時に、それらを今に伝えるこの博物館網走監獄の展示内容のすばらしさに、ただただ感動するものでした。
視覚的な面白さ溢れる博物館網走監獄にあっては、行刑資料館は地味な存在ですが、是非とも時間をかけて、奥の深い資料の数々を見て頂きたいものです。
五翼放射状平屋舎房
この博物館網走監獄で最大の見せ場となっているのが、「五翼放射状平屋舎房」(ごよくほうしゃじょうひらやしゃぼう )(移築)です。
この五翼放射状平屋舎房は、1909年に焼失してしまった並列型舎房に代わって1912年に造られたもので、鉄筋コンクリート造の舎房が登場する1984年まで、約70年にわたって、網走刑務所の根幹施設としての役割を担ってきました。
空から見れば一目瞭然、看守の部屋を要として、5方向に翼を広げたように舎房が伸びているこの五翼放射状平屋舎房は、中央の八角形の小さな見張りの看守部屋に居れば、すべての通路が見渡せるようなつくりとなっており、少人数でも受刑者の監視が効くのが最大の特徴で、実際に見張り部屋に入って見渡してみれば、そのつくりのすばらしさが実感できます。
ベルギーの「ルーヴァン監獄」を、真似て造られたと言われるこの舎房ですが、舎房内には、雑居房126室、独居房100室の計226室の房がありました。
わたしが訪れた時期は、観光客が少なかったということもあり、実際に舎房内に入って通路を歩いてみると、どこかピーンと張り詰めた空気を感じるとともに、ここでもまた、再現構築ではなく移築施設であり、実際に眼前のこの扉の向こうに受刑者が閉じ込められていたのか・・・というリアル感が、妙な緊張感を生んでいました。
この五翼放射状平屋舎房は、明治時代の舎房としては一般的な造りをしていて、15cm間隔で太い根太が敷き詰められており、床からの脱獄を防ぐとともに、扉が二重施錠となっていたり、天井や壁などにもたくさんの細工が施されていました。
第一舎は「雑居房」で、菱形の太格子により造られた部屋が並んでいますが、この菱形の太格子が実に巧妙で、通路を歩いて行くと、斜めの角度で、各々の房の中が見えていくのですが、房の中からは、向かいの部屋が見えないというような造りになっています。
また、この五翼放射状平屋舎房内には、通気だけを考えた、くの字形状の格子などもあり、房の役割に応じて、様々な工夫が施されており、注意して見ないと見落としてしまうほど、細かい技が隠されています。
第四舎に行くと、そこには「独居房」が並んでいます。
第一舎とは異なり、狭いスペースに、押し込められた感のある独居房ですが、その違いにしばらくキョロキョロしながら眺めていると、驚きとともに、天井に人の気配を感じます。
再三登場する、説明用の人形なのですが、なんでこんな場所に、受刑者が・・・と思ってしまうほどの場所に、ふんどし姿の人形があります。
そしてこの人形が意味するものは・・・
昭和の脱獄王!白鳥由栄
この人形の物語は、1944年8月26日に遡ります。
物語の中心人物は、「昭和の脱獄王」と言われた、受刑者「白鳥由栄」(しらとりよしえ)で、この人物こそが、ふんどし姿の当本人でした。
1907年7月31日、この世に生を受けた白鳥由栄は、当時、脱獄不可能と言われていた青森、秋田、網走、札幌の4つの刑務所から脱獄するという、常識では考えられないような離れ業をやってのけた、伝説の男でした。
最初の脱獄時はともかく、2回目の秋田刑務所以降は、看守のマークもきつく、また特別な監視や錠をされたりしていたにも関わらず、看守の上を行く頭脳と、並外れた体力により、映画さながらの脱獄劇を繰り返していきました。
1944年8月26日、白鳥由栄は、この網走刑務所から姿を消しました。
外せない筈の手足の錠を外し、出れないはずの独房を抜け出し、見つかるはずの看守に知られることなく舎房を抜け出し、超えられないはずの壁を越え、アッと言う間に山へと消え去っていきました。
白鳥由栄が入っていた、第四舎二十四房は、独居房の中でも、他とは異なるつくりをした、言わば白鳥スペシャルの特別房だったにもかかわらず、この脱獄王は、見事脱獄劇を演じきりました。
そんな白鳥由栄が、当時の網走刑務所で見せた脱獄劇が、この天井に駆け上がっていく人形の姿でした。
わたしは、そんな人物が日本にいたことを、この博物館網走監獄を訪れるまで知りませんでした。
再三のマークをかいくぐり、不可能を可能にして、4回もの脱獄を演じきった男が日本にいたとは・・・、まさに映画の世界というべき出来事でした。
不思議な脱獄劇の全貌については、博物館網走監獄を訪れた際に、実際の建物で確認しながら学び?納得してみてください。
良い悪いは別として、プロとしての誇り、男の執念が感じられ、自分の体を酷使し、考えられないような方法で、気の遠くなるような準備期間の末行われたこの脱獄劇は、ある種感動すら覚えます。
監獄食のお味は?
この他、博物館網走監獄には、受刑者の唯一の楽しみであった「浴場」(再現構築)や、規則違反などを犯した受刑者を閉じ込める、お仕置き部屋である「煉瓦造り独居房」(移築)、正面に荘厳な祭壇がある、過ちを悔い改めさせる場である「教誨堂」(きょうかいどう)(移築)などがあります。
浴場では、刺青姿の受刑者が居たりと、またもリアルな人形達に、ちょっとビックリさせられますが、実によく当時の受刑者の生活が描かれており、わかりやすい展示内容となっています。
教誨堂は、宗教的な場でしたが、後に映画の鑑賞会が行われたり、外部からの慰問の講演会が開かれたりする場としても活躍しました。
そんな博物館網走監獄ですが、ちょっと変わったサービスとして、網走刑務所での食事を再現した、「監獄食」があります。
監獄食とは、文字通り、受刑者たちに出された食事なのですが、その内容は、麦飯にさんま、切り干し大根、味噌汁など、素朴な和定食となっています。
残念ながら、わたしは食べていないので味は?ですが、興味ある方は、是非挑戦してみてください。
博物館網走監獄は、建物もさることながら、実に多くの資料や実物展示があり、また時にリアルすぎるほどのインパクトのある人形達により、一般人にはなかなか馴染みのない刑務所の世界を、わかりやすく再現した施設となっています。
その一方で、忘れてはならない、北海道開拓の原動力としての受刑者達の働きも、こと詳細に描かれており、とても勉強になる内容となっています。
網走刑務所という名のもとに、興味本位で訪れた方も、最後に鏡橋を渡り現世に戻ってくる頃には、もうひとつの北のはずれの監獄物語に、心を打たれているのではないでしょうか。
北海道旅行というと、札幌・函館・小樽・富良野・・・へと足が向きがちですが、たまには道東網走へも足を伸ばし、是非とも博物館網走監獄を見学してみてください。 |
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