北向観音 (長野)---国内旅行観光ガイド『名勝・史跡★百景』

長野県旅行観光ガイド『北向観音』

Vol . 123

北向観音

（長野県上田市）

‐　Nagano　‐

長野

Presented By 星★聖

北向観音（長野上田）

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北向観音をご覧になるにあたって

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■ 北向観音とは？
長野県上田市の別所温泉にある、平安時代初期の825年に慈覚大師円仁により開創されたお寺で、御本尊は「千手千眼観音菩薩」。古くから南向きの「善光寺」が来世の御利益を願い、北向観音が現世の御利益をもたらすものとして、善光寺のみの参拝を片参りとして嫌う庶民信仰がある。　近くの天台宗寺院である常楽寺が管理を行っているお堂は、焼失と再建を繰り返し、木曾の義仲の挙兵時に焼失し、源頼朝が再興した歴史を持つ。現在のお堂は1721年に再建されたもので、1961年の大改築にて、Ｔ字型をした善光寺に似た撞木造りとなっている。川口松太郎の小説「愛染かつら」は、境内にある「愛染堂」と樹齢1200年のカツラの霊木をヒントに生まれたのでは…と言われる。

おすすめシーズン
1月	2月	3月	4月	5月	6月	7月	8月	9月	10月	11月	12月

片参りとならないように「善光寺」へ行ったらこちらもお参りしよう！撞木造りの「北向観音堂」と、懸造りの「温泉薬師瑠璃殿」に注目！縁結びの霊木とされるカツラの巨木は、観音様が影向した霊木だよ！
～北向観音編～

北向観音の見所

3つの霊場の札所	下って上る北向観音の参道	慈覚大師之湯
坂東三十三箇所観音霊場の巡拝者は、番外札所である北向観音にお礼参りする。信濃三十三観音霊場の客番札所、中部四十九薬師霊場の2番札所でもある。	門をくぐり階段を下り橋を渡ると、おみやげ店が軒を連ねるが、通常の参道の雰囲気と異なり、(参道＋温泉街)÷2という感じ。その先の階段を上ると北向観音。	北向観音の参道近くに、低張性の単純硫黄温泉の飲泉場である慈覚大師之湯がある。温泉療法でも効果的とされるが、飲み過ぎには注意！


北向観音の境内	札所観音堂	北向観音堂
階段を上ると正面にお堂があり、西側に不動堂や鐘楼、温泉薬師瑠璃殿などがあり、東側は少し開けていて、そこから別所温泉の街並みが見渡せる。	江戸時代中期の享保年間に、岡田新右衛門が「秩父三十四観音」の尊像を北向観音に奉納したもので、お堂が建つ前は常楽寺に長らく保管してあったとのこと。	善光寺の本堂に似たＴ字型の撞木造り。古くから善光寺が来世の、北向観音が現世の御利益をもたらすとして、片方のみの参拝を片参りとして嫌う信仰がある。


御本尊千手千眼観音菩薩
平安時代の825年に、常楽寺の裏手の山が鳴動し、慈覚大師がそれを鎮めた際に現れた観音菩薩をもとに自ら彫られた像が、御本尊の千手千眼観音菩薩。


温泉薬師瑠璃殿	懸造りが素晴らしい瑠璃殿
薬師如来の正式名称である薬師瑠璃光如来より、「瑠璃殿」とか「薬師堂」とか人によりその呼び名が異なるが、正式には「温泉薬師瑠璃殿」とのこと。	現在の建物は、江戸時代の1809年に再建されたもので、インパクトのある懸造りの建物が素晴らしい。真下から見上げるとその造りが細部まで見られ、建築好きは思わずよじ登りたくなるほど興味がわく建物だ。「愛染かつら」とともにプラスαの魅力として、北向観音の観光スポットとしての価値を上げている。


鐘楼	霊木愛染かつら	愛染堂
実は境内にある何よりもこの鐘の音に驚くかも？カツラの巨木の横に建つ鐘楼の鐘は無人で自動でつかれるので、振り向いて誰もいなくても驚かないように！	樹齢1200年の高さ22m、幹囲5.5mのカツラの巨木。かつて観音様が影向した霊木は、今では縁結びの霊木、パワスポとして信仰を集め多くの人が訪れる。	カツラの巨木と、愛欲を本能とする愛染明王を安置する愛染堂との2つを結びつけ生まれたのが、第一回直木賞受賞作家の川口松太郎の「愛染かつら」とも？


多くの碑が建つ境内	花柳章太郎供養碑	北原白秋歌碑
古くから芸の道を志す者や多くの文人墨客が訪れていたことが北向観音の境内に建つ碑などからわかる。芭蕉の句碑や、童謡「夕焼けこやけ」の歌碑もある。	川口松太郎とも親交のあった、新派を代表する女形役者で人間国宝の花柳章太郎の供養碑。「北向にかんのん在す志ぐれかな」の句が添えられている。	1923年に別所温泉を訪れた北原白秋が、詠んだ歌のひとつの「観音のこの大前に奉る絵馬は信濃の春風の駒」が、白秋の顔とともに刻まれている。